おはようございます、藤原です。
過日、東京での仕事の合間に映画『ぼくたちの哲学教室』を鑑賞しました。
(渋谷 ユーロスペースにて)
(画像はネットよりお借りました)
観客は少ないのではないかと予想していましたが、ホールは若い人(大学生ぐらい)から高齢(70代ぐらい)の方まで、幅広い年齢層の方々でいっぱいでした。
映画では校長先生が自ら哲学の授業をされますが、改めて教員時代を振り返ると私はそれを「心のお勉強」と命名して、一斉授業や個別の支援で使っていたのを思い出し、懐かしさを感じました。
映画の内容に触れるとネタバレになって、楽しみを減らしてしまうかもしれませんので、これ以上は触れないでおこうと思います。
ぜひ、お近くの映画館でご覧になってください。
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さて、本題です。
多くの人は、「他者」を自分の思い通りに動かしたいと思っています。
上司であれば、部下に命令したことを守って欲しい。
先生であれば、生徒に指示したとおりに動いて欲しい。
親であれば、子どもに言うことを聞いて欲しい。
など…。
私たちは、他者を言葉で管理したいという「管理欲望」を持っています。
わかりやすい例で言えば、恋人を独占したいという気持ちがこれに当たるでしょう。
管理しようとすればするほど、わずかな裏切り行為やその可能性のあるものが気になって不安に駆られます。それにより、相手はだんだん息苦しさを感じるようになったり、嫌悪感を抱いたりするようになって、お互いの関係性は悪化していきます。
そうならないために他者から裏切られることを範疇に入れておくことは、自分の不安が暴走するのを鎮静させるのに効果的なので、他者を管理することよりも自分を管理することの方が重要だと言えそうです。
アドラーの影響を受けたエリック・バーンはそのことを「過去と他人は変えられない。しかし、今ここから始まる未来と自分は変えられる」と表現しています。
その他、自己啓発でも「自分で自分をコントロールすることが大事だ」とか「受け身はよくない、能動的であるべきだ」などと強調しています。
抽象度を上げると、「他者を管理するのは悪。自分を管理するのが善。」といった「善/悪」の二項対立の構図が見えてきます。
ほんとうに「他者を管理するのは悪」なのか?
もちろん、いつも他者を自分の思い通りに動かそうとするのはよくないので「悪」と言えるでしょう。
そのことを以前は、「わがまま」「自分勝手」「自己中心的」であると言ったりしていましたが、最近では「自分軸」で判断するとか、「ありのままの自分」というようにポジティブな言葉に変化しました。
これは自分の意思を尊重することではありますが、婉曲的には他者を振り回したり、迷惑をかけたりすることに繋がる場合もあります。
一方で、他者より自分に権力や主導権がある場合(上司と部下の関係など)は、どうなのでしょう。
上司は部下を動かす必要があり、会社のために言いたくないことでも言わなければならないこともあります。それが管理職の役目であり、社会の構造(システム)というもの。
みんなで目標達成に向かって集中している時に、勝手に休憩している部下がいたらどうでしょう。その人は空気の読めないイタい人と評価され、上司は指導力がないと評価されるでしょう。
しかし、今ではパワハラとかブラック企業などと言われたりしますので、実力のない上司は部下の発言に怯えながら他者を管理しているようです。
話をもとに戻すと、上司と部下の関係においては、他者を上手に管理するのは「善」だと言えるでしょう。
だからといって、上司に異論を唱えたり、反論したりしてはいけないということではありません。組織を向上させるために違った視点から意見を述べたり、斬新なアイディアを出したりすることは建設的でよいことではないでしょうか。
その状況によっては、他者を管理することが「悪」になる場合もあれば、「善」になる場合もあるのです。
どちらが正しくて、どちらが間違っているということは、そう簡単に決められるものではありません。思考が単純な人ほど、すぐにそれを決めつけてしまう傾向が強いようです。
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これまでをまとめると、善悪などの二項対立の考え方は、ケースバイケースで逆転可能だということ。
何事も重要な判断を下す時には、その「背景」を読む能力が必須であり、その前提として、人間は「他者」と共に生きているということを肝に命じておくことは大切です。
さらに、他者を管理する立場にある人や経営者は「抽象度を上げる」ことも重要。
「具体」と「抽象」の交差ができるように、抽象思考を身につけられることをオススメいたします。
最悪なのは、「具体」に対して「具体」で返すこと。
これをやっているとどんなに時間があっても足りませんし、常に二項対立の概念に振り回されることになります。
物事というのは、「具体」になればなるほどリゾーム的に絡み合いながら展開していくものであり、二項対立では判断ができないグレーゾーンという壁にぶつかります。
「抽象」になればなるほどシンプルになり、問題自体が解消されていきます。
抽象度を上げることによって導かれる世界観こそ、「美学」の醍醐味と言ってよいでしょう。
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